お台所の薬箱 食材AtoZ 梅
青梅は毒?
青梅には毒が含まれているから食べてはいけません、と言われたことがありませんか?
青梅に限らず、未熟な果実の中には、アミグダリンという物質がふくまれております。
未熟な果実は、子孫を残すために、外敵から身を守るために毒素を持っているということなのです。
人間の体内にある酵素と反応するとシアンという物質に変わります。
人間の消化酵素や胃酸との結合によって、その毒性が強まることはありますが、実際には少々口にしたくらいでは致死量には至りません。
問題は、青梅の種子に含まれている青酸配糖体という成分。
大人は青梅をガリガリ食べたりはしないでしょうが、子供が誤って口にしないように注意が必要です。
アイキャッチの写真は青梅という和菓子。中はさつまいもと梅で作った甘酸っぱい餡が入っています。
毒も梅干しにすれば薬になる
そんな青梅ですが、日本人の食生活に欠かせない、梅干しになると、お薬のように薬効があるとされてきました。
現存する日本最古の医学書「医心方(いしんほう)」にも、梅干しの薬効が記されています。
960年の申年に、都で悪疫が流行った時、病に伏した村上天皇が梅干しを食べて回復したと言われ、以来「申年の梅は薬になる」と伝えられてきました。
特に、この年が庚申(かのえさる)だったことから、60年に一度巡ってくる、庚申の梅が珍重されるようになりました。
今から一番近い庚申は2040年です。。。
梅干しの効果は?
梅干しには殺菌力があり、お弁当やおむすびに梅干しを入れたりしますよね。
また、昔から「朝の梅干しはその日の難のがれ」という言葉があります。
これは、昔の旅人は、梅干しを薬として携帯し、健康に気遣ったということからとも言われています。
梅干しは新陳代謝を活発にし、疲労回復にも効果があるので、1日の始まりに梅干しを食べて、体をしゃきっとさせましょう!
体がだるい時の特効薬
健康体の私ですが、体がだるい時、どうもはっきりしない時にはこれ!
梅干しに番茶を注ぎ、少しお醤油を入れた、梅しょう番茶。
特に冬の朝一の仕事の時など、飲むと体に英気が巡る気がします。
おすすめの梅を使ったスイーツ
りんごジュースに梅干しと葛粉を入れて、練ったもの。
葛の梅玉です。
葛粉はお腹の調子を調えてくれたり、体を温める効果もあります。
これからの季節、暑くなったと思ったら、雨で体が冷えたりと、季節の変わり目に体調を崩しやすくなります。
そんな時、甘酸っぱく、体をいたわってくれるお菓子ですよ。
日本人の生活に深い関わりのある梅
梅にはこんな言葉があります。
塩梅(あんばい)
料理のほどよい味加減のこと。梅干も適正な塩加減で作るのが保存性も薬効も高いですよね!
梅干は三毒を断つ
三毒とは、食べ物の毒・血の毒・水の毒ということを意味します。
食べ物の毒は、梅干しの殺菌作用や解毒作用などにより断ち切ることが可能です。
血の毒というのは、血液の代謝が効率良くいかなくなったことが原因でできる毒で、これも梅に含まれているクエン酸のはたらきなどによって断ち切ることができます。
水の毒は梅干しの抗菌作用などで断ち切ることが可能になります。
梅干には七つの徳がある
梅干しは体に良いという食べ物であることを強調した教え。
殺菌・解毒・解熱・整腸・精神安定・鎮痛、消炎・血液浄化作用などいろいろな薬効があるということです。
紫蘇を入れるのは日本だけ?
梅干しにシソを加えて作るのは日本だけであり、同じく梅干しを作っている中国や台湾ではもともと使われていないようです。
梅干はもともと中国から伝わったとされていますが、シソの香りの成分であるペリルアルデヒドには強い防腐力と制菌作用があり、保存性を高めるため、梅干し作りに利用したと考えられています。