和菓子歳時記 11月亥の子餅
【和菓子歳時記】
暮らしの一部として根付く歳事は遠い昔から和菓子と深い結びつきがありました。
11月には、亥の子餅をいただく風習があります。
亥の月は旧暦の10月、今の暦でいうところの11月を指します。
亥の子は亥の月の最初の亥の日のことをさします。
【無病息災を祈り、五穀豊穣を祝う】
古代中国では、「亥の月、亥の日、亥の刻に餅を食べれば無病息災である」といわれ、この餅を「亥の子餅」といいます。
「亥の子餅」は、新米にその年に収穫した大豆・小豆・ささげ・ごま・栗・柿・糖(あめ)の7種の粉を混ぜて作った餅で、亥の子、つまりイノシシの子どもであるうり坊の色や形を真似て作られたそうです。
作った「亥の子餅」を田の神様に供え、家族で食べて無病息災と子孫繁栄を祈りました。平安時代には、「亥の子餅」を贈り合う風習もありました。
【茶人の正月】
茶の湯の世界でも、この日を炉開きの日としており、茶席菓子 として「亥の子餅」を用います。
亥は陰陽五行説で水にあたり、火災を逃れるとされるため、「亥の月の亥の日から火を使い始めると安全」といわれていました。
茶の湯では、「亥の子」の日に夏向けの風炉をしまい、炉に切り替える「炉開き」を行います。
「炉開き」は「茶人の正月」ともいわれ、初夏に摘んで寝かせておいた新茶を初めて使う「口切り」をして、「亥の子餅」をいただきます。
【2021年の亥の日は?】
11月最初の亥の日は2021年は11月11日にあたります。
10月から11月頃に和菓子店の店頭に亥の子餅が並ぶことが多く、色や形、材料も様々に変化しています。
よりどころのランチデザートも11月からは亥の子餅が登場しますよ!
見た目は地味ですが、私も大好きな和菓子。
自分で作れば、甘味料ゼロ。自然の素材の甘みのみで作れます。
この季節は合わせてサツマイモの蒸しようかんを作ることが多いです。