お台所の薬箱 食材AtoZ 寒天
1gの寒天で100gの水を固めることができます!
寒天で思い浮かべるのは、あんみつとかみつ豆に入っている、キューブの半透明なものでしょうか?
あの状態のもので、水分に対して1.5%の寒天です。
食感はコリっとしていて、噛まないと口の中でつぶせません。
水分に対して寒天が0.1% だと、お口に入れると溶けてなくなっちゃうくらいの固さですね。
ゼラチンとどう違うの?
ゼラチンは豚や牛から作られており、たんぱく質が主ですが、寒天は天草、オゴノリといった海藻が原料となります。その8割が食物繊維です。
この2つは、固まる温度に違いがあります。
寒天が100℃で完全に溶け、30℃以下で固まり始めるのに対し、ゼラチンは30℃で溶け始めてしまいます。
ゼラチンを使ったゼリー液は、常温では固まりませんが、寒天を使った寒天液は、常温でも固まります。
また、ゼラチンはパイナップルやキウイフルーツなどの果物に含まれるプロテアーゼ(たんぱく質分解酵素)によって、凝固が阻害されます。
ゼラチンを使った時、ゼリーが固まらないよ〜?っていうこと、ありませんでしたか?
パイナップルやキウイは軽く茹でて使うと、固まりやすくなるようです。
寒天は8割が食物繊維ですので、プロテアーゼによる凝固の阻害がありません。
胡麻プリン。
口に柔らかい食感を出すには、寒天と葛粉を組あわせてつくります。
健康食品としての寒天
寒天にはほとんどカロリーがなく、腸において油や糖分の吸収を妨げることから、ダイエット食品としての効果も期待できそう。
お腹にたまるので、食前に食べると食欲を抑えることもできますね。
食物繊維が豊富なので、お通じもよくなりそうです。
また、お米を炊く時に、1合につき1gの粉寒天を入れて炊くと、つやつやもちもちのご飯になります。
食感のみならず、普通に炊いたご飯と比べ、粉寒天入りのご飯は、食後の最大血糖値が低下し、GI値の減少も認められたそうです。
そして、実は寒天の優れたところは、寒天自体にほとんど香りも味もないところです。
それゆえ、食べ方のバリエーションも豊富。また、医療用や介護用の食材としても、様々な使われ方をしています。
寒天の半止めって?
写真は寒天の中に果物が入っている状態で固まっています。
これは、最初に少し寒天液を流し入れ、完全に固まる前に、そっとその上に果物をのせて、さらにその上からまた寒天液を注いでいます。
この時、最初の寒天が完全に固まってしまったら、果物をのせても寒天液になじまないし、あまり固まる前に果物をのせると、浮かないで沈んでしまうので、ある程度固まりかけてはいるけど、少し柔らかい状態で果物をのせています。
その状態のことを半止めと言います。
これはほうじ茶で作った寒天液にキウイとラズベリーを入れていますが、表面を寒天液で覆った果物が、涼しげなお菓子です。
甘さはアガベシロップを少し使っています。
この場合の寒天の割合は、かっちりと固い仕上げだと食べた食感に面白みがなく、柔らかすぎると切り分けた時に、シャープさが出ないので、何度か試して濃度を決めています。