あなたは長命寺派?道明寺派?
桜餅は大きく分けて2種類あります
幼い頃は、桜餅といえば、クレープタイプのもので、いわゆる道明寺の桜餅は関東では主流ではありませんでした。
そして、関東で主流の桜餅が長命寺と言われることも、知りませんでした。
長命寺VS道明寺
長命寺は、関東風の桜餅のこと。
小麦粉などの生地を薄く焼いて、餡を巻いたものです。
ルーツは1717年、隅田川沿いにある、長命寺にあります。
桜の落ち葉掃除に悩まされて、桜の葉を塩漬けにして、薄い皮に餡を包んだものに、塩漬けの桜の葉を巻いて売り出したところ、当時の江戸で大ヒットしたとのこと。
一方、道明寺は、関西風の桜餅と言われています。
道明寺粉とは、もち米を蒸して乾燥させ、粗挽きしたものです。
大阪の道明寺で保存食として作られたのがルーツのようです。
この道明寺粉で皮を作り、餡を包み、それを桜の葉の塩漬けで包んだものが’関西風の桜餅と言われています。
桜餅分布図
ご覧の通り、桜餅といえば、圧倒的に道明寺タイプが占めております!
東京で生まれ育った私などは、この結果に軽くびっくりです!
そして、その他の1.7%も気になります(笑)
桜の葉っぱは食べる?食べない?
桜餅の独特な香りは、桜の葉を塩漬けにすることによって生まれます。
生の葉っぱや、お花からは香りませんが、葉っぱを塩漬けにすることにより、クマリンという芳香成分が生じます。
葉っぱで包むことで、お菓子に香りが移りますので、一緒に食べるか食べないかは、それぞれお好みによって、ということになりますが、長命寺タイプの桜餅で、葉っぱを2〜3枚使っているものは、香りを皮に移しているので、葉っぱは外して食べるのがおすすめだとか。
ちなみに、葉脈が浮き出ている側が裏。桜餅は裏側を外側に見えるように包むようです。
ちなみに、このクマリン、抗菌効果もあるようです。
桜の葉っぱを塩漬けにすることで、クマリンという芳香成分が生じて、あの独特な香りを楽しむことと同時に、桜餅の乾燥を防ぎ、抗菌としての効果もあるなんて、正に一石三鳥ですね!
季節を愛でる、日本の文化
現在、桜餅に使われている桜の葉っぱは、ほとんどが、伊豆半島の「松崎町」のものだそうです。
オオシマザクラという、人の背丈よりも低い桜を栽培しています。
葉っぱが出てくる、5月に摘み取り、樽の中で塩漬けにされます。
巨大な樽の中で、半年ほど塩漬けさせた後で、真空パッック詰めして、各地に販売されています。
オオシマザクラを使用されているのは、葉っぱが大きいことと、他の桜の葉っぱよりも、塩漬けすることで生じる「クマリン」芳香物質がより多く出ることが理由だそうです。
桜の季節の前、新年明けて2月くらいから桜餅は店頭に出始めます。
季節感を大切にする日本の食文化は、1年前から準備が必要なのです。
食べようと思えば、一年中食べることができる桜餅ですが、時期は2月から遅くても5月まで。
季節を愛でる、素晴らしい日本の食文化、ここにあり、ですね。