古代小麦のお勉強会に参加しました
日本でも小麦アレルギーの人が増え、グルテンフリーの食材が注目されることが多くなりましたね。
私の教室でもグルテンフリーのお菓子やパンのレッスンをしています。
小麦アレルギーの問題は、小麦自体の問題だけでなく、日本における食文化の急激な変化も問題となっていると思います。
小麦を悪者にする前に、いろんなことを知ることはとても大切なこと。
今回は、From Kitchenさんが主催で、カナダ在住のNaoko Jokojiさんが講師。
From Kitchenの福島さんとは、私が料理の仕事を始めたばかりの時に、お時間をいただいてお話しを伺ったことがあったり、Jokojiさんはアメブロを通じて知り合い、2年前には図々しくも日本に一時帰国していらした時に、わざわざお時間をいただいてカナダのグルテンフリー事情をお聞きしたこともあったのでした。
古代小麦とは?
まずは、4種の古代小麦の味比べ。
EinKorn、Emmer、Red fife、Kamutの4種類を焼いてくださいました。
小麦粉はカナダから持ってきてくださったもの。
それぞれの小麦の特徴の説明を元に、何番がどの小麦かを食べて当てるというクイズ。
1番と2番は香りの癖がなく、3番と4番の香りがきつく感じたので、私は3と4が原種に近くて、1と2が現代小麦に近いものかと思いましたが・・・
答えは、全く逆でした。
1 EinKorn 最古の小麦で野生種。9000年前から栽培され始めた
2 Emmer 野生種とデュラム小麦を掛け合わせた2番目に古い小麦
3 Kamut 現代小麦と類似、デュラム小麦とポーランド小麦を掛け合わせた
4 Red fife トルコで誕生しカナダで広がった古代小麦 現代小麦のほとんどはこの小麦と掛け合わせられている
いずれにしても、現在の小麦とは全く味わいが違い、ずっしりとして粉自体の風味を感じるパンでした。
現代小麦と古代小麦の違いについて
収穫しやすく、収量を多くするために、度重なる品種改良をされたのが現代小麦。
もともと植物は次世代に残すために、種を自ら落とすようにできていますが、人間にとっては、収穫前に種が落ちてしまっては困るので、種になった時に穂から落ちないようにしたり、陽の光を浴びやすいように背を高く育っていたものを、風に対して倒れにくくするために、背を低くし、茎を太くしたのが、現代の小麦です。
人間にとって都合の良い性質に変えていった結果、種は落ちなくなったけど、今度は穂から種が落ちることなく、穂の中で発芽をしてしまうので、小麦の収穫直前に除草剤を撒いて枯してしまい、効率良く収穫できるようにしました。
品種改良と農薬。これが大きな違いです。
小麦がいけないわけではなく、繰り返された品種改良の結果、今日の小麦アレルギーを引き起こしている原因に結びつくわけですね。
自分の体は自分で守る
今回のお勉強会では、そんな古代小麦を通して、現在の食の危うさを考えてきました。
お話しの中で出てきたのは、日本の食における選択肢の少なさ。
カナダでは、無農薬のもの、デイリーフリーのもの、グルテンフリーのもの、小麦製品においても、古代小麦などを消費者が選択できるようになっているとのことですが、日本ではごく一部でしか、選択ができない環境です。
健康は誰かに委ねるものではなく、自分で守ることが大事。
日常から丈夫な体と内臓を作ること。
ホールフード(未精製食物)を食べ、プロセスフード(加工食品)を少なくする。
そして、白いお砂糖を取らないようにすること。
体にとって危険なものをなるべく避けることがPointになりますね。
日本食には昔からの知恵が備わっている
例えば、焼き魚には大根おろしが添えられるように、たんぱく質の消化を助ける工夫がされています。
日本食に漬物が添えられているのも、発酵食品が消化を促す役割があるから。
そんな工夫が日本食にはたくさんあります。
世界でも類を見ない多種多様な発酵食を持つ日本。
そんな日本で生まれ育ち、現在カナダに住んでいるJokojiさんは、海外にはそれに近い食文化がないため、各自が自分で何かのカテゴリーを見つけて所属していると言っています。
ローフード、ビーガン、ブルテンフリー・・・そんなカテゴリーがはっきりとしていて、そこに委ねている人が多く見受けられるようです。
グルテンフリーからシュガーフリーへ
グルテンが問題なのではなく、現在の品種改良を重ね、農薬を使用した小麦に問題があると言われており、カナダではこうした古代小麦を使用している食品も選択ができるようになってきているとのこと。
一部の健康上の問題がある人を除き、ダイエットや健康目的で小麦製品を避けるというブームはカナダでは過去のものになりつつあると言われました。
今は、シュガーフリーへ。
加工食品、飲料などにかなり含まれている精製された白い砂糖の摂取過多を問題視するようになってきているようです。
古代小麦を使った、ビーガン使用のパンケーキ。
みなさんのパンケーキにはヨーグルト、卵、バターを使用していますが、事前に申し込んで別に作ってもらったもの。
卵の代わりにアマニを潰して入れてあります。
日本における、今後は・・・
日本における小麦に関する動向は、海外とは又違った見解があると、私は思っています。
そもそも日本人はこんなに小麦製品を食べる民族ではなかったのです。
現在は国内で使用している小麦の85%は輸入に頼っています。
昭和30年代をさかいに米の生産量、消費量は激減し、代わりに小麦の消費量、動物性加工食品、乳製品の消費が倍増しました。
急激に食生活をこんなにも変化させた民族は、世界でも類を見ないでしょう。
そんな中、小麦粉のアレルギーを持つ人が増えてきました。
私は、そんな人たちにも楽しめるお菓子やパンを提供していければ嬉しいと思っています。
一方、私としては、小麦を使わないで作るお菓子やパンを教えながらも、それは嗜好品の一つであって、本来的にはきちんとした食事(ご飯、味噌汁、漬物、などの日本食)がベースであると思っています。
小麦は外皮がとても硬く、外皮だけを取り除くことができません。
なので、全体を先に挽いてしまって、ふるいにかけて粉として練ったりこねたりまとめて、焼いたり、パスタのような形に成形して食用としています。
粉にするということは、空気に触れる部分が多くなるため、酸化もしやすくなりますね。
一方米は、籾殻を取り、玄米や精米した状態にすることができるため、炊いてご飯にして食べることができます。
粒の状態の方が粉よりも酸化しにくいので、お米の国に生まれた私たちは、主食を米に育ったことに感謝したいですよね。
昨今炭水化物ダイエットなるものもありますが、いろんなブームは盛り上がってはやがて廃れます。
太古より続いた日本の食文化の良さを、もっと再認識し、未来に続けていくことが、私たちの使命だ、と思っています。